「クラウドは本当に頼りになるよ」
笑顔でそう言われると、悪い気がしない。
いや、そんな否定的な言い方ではいけないな。
彼に褒められるのは、とても気分が良い。
「何かお礼しないとな」
「これくらい気にするな」
「でも、やっぱりお礼したいからさ」
そう言う相手の隣で、それを快く思っていない顔をしている奴が居る。
笑顔の相手と全く同じ顔をした青年は、俺を見てフンと鼻を鳴らした。
どうやら、俺の事が気に入らないらしい。
「今度、弁当作ってくるよ」
「本当に?」
料理が得意だとそう言っていた相手の手料理、毎日作ってくる彩りの良い弁当を見て、一度味わってみたいと思っていたんだ。
彼から言い出してくれたというのは、自分はツイてる。
「ありがとう」
「いいよ、俺がクラウドにお礼したいだけだからさ」
そう言って笑う相手に、俺も自然と笑みが零れる。
それを快く思っていない相手は、義理固い相手の性格をよく知っているのだろう、そんなのいいだろ、というのもオカシイと思っているのか、さっきから沈黙し続けている。
「好きなモノあるか?」
そう尋ねられ、卵焼きは甘い方が好きだと答えれば、彼も笑って「俺も甘いのが好きだよ」とそう答えた。
そういう共通点が見つかるだけで、俺は嬉しい。
「あっ、もうすぐ授業だ…そろそろクラス戻らないと」
「そうだな」
そうやって立ちあがって出口へ向かう俺達。
その俺の肩を誰かが叩いた。
いや、誰かなんてオカシイか、この場で俺を呼びとめるのは二人に一人しかない。
「兄貴の弁当は、いつも俺の為に作ってくれてるんだからな」
ムッとした顔でそう言う相手に、俺は「そうか」と一言返す。
その別段、何も取りみだした風もない俺の態度が気に入らなかったらしく、相手は更に顔をしかめた。
「絶対に残すなよ」
しかし、他に何か言う言葉も見つからなかったらしい相手は、俺に向けてそう言った。
それにも俺は「そうか」と同じ言葉を返す。
後日、本当に用意してくれた彼の弁当は、本当に美味しかった。
「これからも頼みたいくらいだ」
「本当に?そう言ってもらえると嬉しいな」
ハニカムんで笑う相手の隣で、不機嫌そうに、それでも絶対に綺麗に弁当を食べ続ける弟の姿があった。
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やっぱり、自分はパロディ好きだな…と、つくづく思う今日この頃。
アナフリは、何か相手に落ち度が無い時に人を責めるのは、とっても苦手そうだな…何かないかと粗探ししてみて、結局意味の分からない事言ってそうだな…とか、そんな事を思ったり。
それでもクラウドは、大人な態度を崩さなくて、ノマフリはただの良い人だろうなと。
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