訓練所の隣にある、武器を補完している倉庫の前で明日の演習の準備を行う。
明日は得意の弓の訓練だ、不備のないようにしっかりと手入れをする。
「明日も訓練?」
そんな俺に、女の子の声がかけられる。
「マリア、今日も来ていたのか?」
「うん」
ニッコリ笑う義妹に俺も微笑み返す。
「兄さんが、フリオニールは才能があるって喜んでるよ」
弓の手入れを続ける俺に、彼女は今しがた会ってきたのだろう、一年先輩である義兄の話を出す。
「本当に?」
「うん、期待してるって」
「そんな事言われても困るな…」
まだまだ半人前の訓練兵だ、才能があると言っても、これから先どこまで伸びるかは分からない。
「私はフリオニールは強い人になると思うよ」
そんな俺に、彼女は笑ってそう言う。
「そう?」
「ええ、なんだかそういう気がするの」
彼女の根拠のない、しかし、くすぐったい彼女の言葉に、俺は笑う。
「じゃあ、頑張ってね」
「ああ、また」
そう言って家へ帰る彼女を見送り、俺は小さく息を吐く。
「可愛いよな、あの子」
彼女の後姿を見送る俺に“相棒”が声をかける。
「まあな、年々綺麗になっていく」
「へぇ……彼女にしないの?」
「馬鹿、マリアは俺の義妹なんだって言っただろ?」
「……ふーん」
何だ?今の微妙な間は。
「フリオニール君、ですね?」
「はい……っあ」
呼びかけられ、振り返った瞬間に俺は固まった。
何せ、俺の名を呼んだその人物は、王女の参謀と呼び声も高い宮廷魔導士のミンウ、その人である。
自分のようなただの訓練兵が、中々会って話などできる人物ではない。
「私はミンウといいます、一応、この国の宮廷魔導士を務めているのですが」
「知ってます」
むしろ、貴方を知らない人はいないと思いますが……。
「実は、君にお願があってきたのです」
「俺に、ですか?」
「はい」
宮廷魔導士である彼が、ただの訓練兵に?
一体、それはどういう頼みだというのか……。
必死でその内容を予想しようとして、しかし何も思い浮かばず、仕方なしに彼の方を見ると、宮廷魔導士は俺に微笑み返した。
「単刀直入に申し上げます、この国を救う為、召喚士になってはいただけませんか?」
「…………はい?」
俺は、俺に笑顔を向ける宮廷魔導士の言葉を何度も頭の中で反芻してみたものの、どうしても、その真意を突き止める事はできなかった。
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第二話、完成。
女性キャラをマリアにしようかレイラさんにしようか迷いましたが、ここは普通にマリアにしてみました。
王城とか言ってますが、訓練施設は警備の目は厳しくないし、民間の人でも入れると思うのです。
兵士の家族なんかは特に、警備の目さえクリアできたら入れるんじゃないかな…と。
まあ、平和な証ですかね。
さて、どんどん2の色が強く出てきている…まあ、気にしちゃダメです。
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