「あれ…今回は俺の専用武器、変わったのか?」
ショップに新しく追加された武器を見て、思わず口をついて出た疑問。
『ランスオブアベル』かつて、自分が一番最初に手にした専用武器の名前がそこにはない。
代わりにリストに追加されていたのは『リーベルアーミー』という新しい武器の名前。
最強武器を作る為にとトレードしてしまったものの、自分と一緒に戦場をかけた武器が無いというのは少し寂しい気もする。
だけど新しい物にはやっぱり興味が湧く。
「よろしくな」
早速トレードした新しい武器に、そう声をかけた。
後日……
「あっ、また新しい武器追加されたんだな」
ショップの追加リスト、そういえば今日は専用武器に必要な新しい素材を手に入れたんだっけ?
「来ていたのか?」
「!…何だ、カインか」
背後から声をかけられて、飛び上がりそうになった。
「ショップリストが追加された、と聞いたからな」
だから見に来たんだそうだ、俺と同じだったようだった。
二人揃って武器のリストを確認する、品揃えも増えて来てリストの長さは相当なものとなっていた。
そんな中、専用武器の中にある『ロンギヌス』という見慣れた名前、確かに自分が以前手にしたものと同じ武器の名前がそこに記されていた。
これを手に、また最強武器を目指していこうと思った時…ふと、リストの下に見覚えのある名前がある事に気付いた。
「…ランスオブアベル……」
「ああ、俺の専用武器だな」
隣に居るカインがそう言う通り、聖竜の槍とトレードして作られるその槍は竜騎士の専用武器に変化していた。
「それ、前は俺の専用武器だったんだ」
「…そうだったのか?」
首を傾げるカインに、俺は小さく頷き返す。
そういえば、俺の最強武器はどういう訳か剣ではなく槍だった…他のメンバーの中でも、魔導師系の仲間等を除くと槍というのは珍しい方かもしれない。
槍で闘う仲間というのは、俺と竜騎士を以外、あまり見かけないな……。
「コイツはいい相棒だったか?」
俺にとっては懐かしい槍、カインはすっとそれを一振りすると俺にそう尋ねた。
「ああ、とても頼りになったよ」
「お前がそう言うのなら、素晴らしい武器だったんだろう…俺の牙として、手に馴染んでくれればいいが」
言って、彼の口角が少し上がる。
「お前の方がいいと思われては、俺の顔が立たん」
「そんな…俺よりも、カインの方が槍の扱いには慣れているだろう?」
「どうだろうな…お前は何をするのも、器用だからな」
褒められているのだろうか、何となく恥ずかしくて首をすくめる。
だが新たな主の手に渡った昔の相棒は、これからも彼と共に力を発揮してくれるだろう。
もしかしたら、俺よりもずっと彼はあの槍を使いこなす事が出来るだろう。
「カイン、今度よかったら稽古をつけてくれないか?」
「俺が、か?」
「ああ。カインは空中戦得意がだろう?苦手なものは克服したいし、それに…仲間の中で槍の扱いに慣れてるのも、カインだろうしさ」
「そうか…いいぞ、いつでも声をかけてくれ……俺でよければ相手になろう」
そう言うとカインは俺の頭を優しく撫でた。
「一応言っておくが、手加減はしないぞ」
「してもらわなくて結構だ」
ムッとした表情でそう言い返すと、カインはフッと吐息を漏らして笑った。
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今回、フリオの専用武器の名前を見た時に「アレ?」と思ったのですね…だって、変わってるんですもん。
そしてようやく『ロンギヌス』を制作できた訳なんですけれど…『エレクトラム』を入手出来たら、全員分の専用武器がリスト追加されまして…そこで『ランスオブアベル』を発見した時のビックリ。
そして、カインの専用武器に変わっていた事に対するビックリ。
この二人は凄く仲良しだったらいいのに…というか、お兄さんなカインに懐いているフリオという構図がとっても萌えると思います。